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メディア紹介社内勉強会足元の米国金利の変動とGファンドの見通しにつきまして
いつもSUSTENをご利用いただきありがとうございます。
2021年にサービスを開始して以来、グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)(以下、「Gファンド」)にとっては厳しい投資環境が継続しておりますが、改めまして直近の動向についてアップデートいたします。
Gファンドを保有されているお客様におかれましては、少なからず不安な思いを抱いておられることと存じますが、本レポートが少しでもお客様がご不明に感じられていた点を解消できれば幸いです。
本レポートの構成は、以下の通りです。
- これまでのグローバル複合戦略ポートフォリオ(G)の歩み
- 今後の米国の金利に対する見通し
グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)の歩み
SUSTENファンドのトータルリターン推移
2021年2月にサービス開始してからというもの、当社のグローバル資産分散ポートフォリオ(R)(以下、「Rファンド」)に代表されるように世界の株式市場のリターンは好調に推移する一方で、Gファンドにとっては非常に厳しい相場環境が継続してきました。
もともとRファンドが世界の経済成長をドライバーとする収益の獲得を目指す一方で、Gファンドは次の役割を果たすよう設計されています。
- 経済成長に依存しにくい収益源となること(株式に対して長期的に低相関であること)
- 制約のない投資家にとって株式と50:50で保有した際に、投資効率が最大となること
これらの設計を満たす上で、Gファンドでは短期債を恒常的に買い持ちする傾向にあります。
しかし過去数年においてはこの短期債への継続的な投資が、ファンドのパフォーマンスには重石となっています。
なぜGファンドが短期債を恒常的に買い持ちする傾向があるかの背景につきましては、こちらをご一読いただければ幸いです。
短期債への投資は、長期的にはもっとも投資効率の高い戦略のひとつとして知られる一方で、すべての局面において万能というわけではなく、特定の局面を苦手にします。
次の、短期債投資(米国2年債先物への投資)の累積リターンを示すグラフをご覧ください。(わかりやすさのために、Gファンドと同じリスク(変動率)を持つようにグラフを調整しています。)
短期債投資のリターン傾向
このグラフから読み取れることとしては、
- 米国2年債先物の累積リターン(黒色の線)は、2年債金利(オレンジの線)が上昇しない際には効率的にリターンを積み上げる
- 1991年末から2023年末まで(足元で大幅に下落しているとはいえ)30年強で資産は約5倍に成長(Gファンドと同じリスクを持った場合)
- 2年債金利が緩やかに上昇する局面では、緩やかにマイナスになるものの、時間とともに回復する
- 2004年ごろから始まった金利上昇や、2016年ごろから始まった金利上昇局面では緩やかなマイナスのリターンを記録
- 2年債金利が急上昇する際には、大きなマイナスが生じる
- 2021年から足元にかけての金利急上昇
といったことが挙げられます。
通常期においては魅力の大きい短期債投資ではありますが、SUSTENがサービスインした直後の2021年の終わりから2023年にかけては、2年債金利が過去に類を見ないスピードと幅で急上昇しており、これに伴いGファンドのパフォーマンスも株式投資に比べて劣後することとなりました。
Gファンドの投資家の皆様にはご心配をおかけしており、大変心苦しい限りですが、私たちはそれでも過度に悲観的になる必要はないと考えています。
というのもGファンドのこの数年の下落については、ほとんど短期債投資によって引き起こされていると説明できるためです。
次の、「短期債とGファンドのリターンの比較」をご覧ください。
短期債とGファンドのリターンの比較
Gファンドの過去の下落は、このグラフからも見て取れるようにかなり短期債投資と同じ動き方をしていることがわかります。
短期債投資によるマイナス影響を取り除いた分析が次のグラフです。
Gファンドにおける短期債投資の影響を除いたパフォーマンス推移
このように短期債投資以外の部分については、(歴史的な金利上昇によって引き起こされた短期債投資のマイナスを取り戻すまでにはいたっておりませんが)少しづつリターンを積み上げています。日々戦略の追加や改良を重ねており、足元では特に機械学習の技術を取り込んだ戦略が好調です。
過去3年においてはGファンド内で足を引っ張り続けた”戦犯”とも表現できる短期債投資ですが、短期債に対する投資は文字通り「債券投資」であるため、発行体(米国短期債であれば米国政府)が破綻しない限り、長期の有効性については心配するところではありません。債券投資は株式投資と異なり、発行体が破綻しない限り、一時的に価格が下落してもいずれは回復すると言えます。
ただ、長期的には心配しない一方で、Gファンドの短中期の動向を見通す上では今後も短期債の動向を把握しておくことが重要です。
先にもご紹介した通り、短期債への投資は金利が上がる局面ではマイナスになりやすく、反対に、金利が下落する(または変化しない局面)ではプラスになりやすい特徴を持ちます。
言い換えれば、金利がこの先も上がり続ける場合は、Gファンドにとって逆風の環境が継続しますが、金利上昇が収まればやがて緩やかに回復していくと想定できるということです。
それではその金利は、今後どのように推移すると考えられるでしょうか。
米国の金利に対する見通し
2021年以降、日本を除くほとんどの先進国においては金利が急上昇しました。
これはコロナ禍以降、世界中の物価が急上昇したことを抑え込むために、各国の中央銀行が引締め的な政策を実施したためです。
物価の上昇と政策金利の関係についてはこちらのレポートも併せてご覧いただければ幸いです。
足元では、過去に類を見ないスピードと幅による利上げによって、物価の上昇率(インフレ率)には落ち着きが見られるようになってきました。
このインフレ率の落ち着きから、私たちは政策金利が急速に引き上げられ続ける局面は終了したと見ており、つまりGファンドにとっての最悪期はまず脱しつつあると考えています。
現在の市場での関心は、利上げの心配というよりは、もっぱらいつ利下げを実施するのか、どのくらい利下げするのかというところです。
とはいえ、今後金利が一本調子に下落するとまでは考えていません。
今後数か月間は、毎月発表される経済データを元に、市場は一喜一憂を繰り返していくものと思われます。足元では特にインフレ率関連の経済指標に対する市場の反応は大きくなっており、少しでも公表数値が予測を上回ると大きく金利が上昇(債券価格が下落)し、反対に少しでも予測を下回ると大きく金利が下落(債券価格が上昇)するような反応を見せています。
投資家として注意したいことは、そうした一時の価格の上げ下げに踊らされないことです。
発表される経済データは常に誤差をはらみます。たまたま一部の商材に需要が集まった/売れなかったということは日常茶飯事で発生するため、統計データが常に「真の値」(現在の経済の状態を適切に表す値)を示すとは限りません。
仮に真のインフレ率が+3.0%であったとしても、観測できるデータは+2.8%かもしれないし、+3.2%かもしれないということです(観測データが真の値かの判別は不可能)。
現在の市場は、この微妙なノイズに対しても過剰反応を見せる傾向にあります。
大切なのは点としてのデータではなく数か月に渡る傾向であり、観測される経済データから真の経済状況を判断することです。
私たちはトレンドとして、物価上昇はすでに落ち着きを取り戻しつつあり、(今年か来年かはわかりませんが)政策金利はやがて引き下げられるものと見ています。金利水準を定める中央銀行の政策決定者も、今後数か月のインフレ率のデータを見つつ、いつ利下げを実施するかを判断していくと述べているところです。
中立金利に変化はあるか
先にご紹介したとおり、現在の市場の関心は「今年いつ利下げが開始されるのか/今年どのくらい利下げを実施するのか」といったところに集まっています。
開始時期が遅れそうだと思われれば、一時的に短期債金利は上昇し、反対に開始時期が早まりそうだと思われれば、短期債金利はそれを先取って下落します。Gファンドにおいてもそのような価格変動の影響を受けると想定しています。
今年の下期にかけてはそのような一喜一憂を繰り返していくものと思われますが、やがて本格的に利下げが開始されれば、Gファンドのパフォーマンスも上向きの追い風となり、次は「どこまで政策金利を引き下げるのか」という点に関心は移っていくと思われます。ご参考までに本レポート執筆時点では、市場が織り込む5年後の政策金利の水準は3.9%程度とされています。
FRBは現在のところ、中立金利(政策が引締め的でも緩和的でもない金利)を2.5%程度としていますが、果たしてこの先この水準に修正が入るかどうかも注目です。
中立金利の詳細はこちらの記事もご覧ください。
おわりに
本記事では、米政策金利の今後の見通しについてご説明して参りました。
Gファンドの投資先の中でも大きな割合を占める米国債券は、米政策金利の影響を顕著に受けることは避けられず、これまでお客様には多大なご心配をおかけしてしまいました。
当社としては、FRBのパウエル議長や多くの市場関係者と同様に、今後は利下げ開始シナリオを想定しており、Gファンドの最悪期は脱しつつあると考えております。
今後も金利動向には細心の注意を払い、状況に大きな変化があれば今後もお客様にお知らせすることを予定しております。
SUSTENに関するご意見・ご質問などは、SUSTENカスタマー・サポート(support@susten.jp)までお気軽にご連絡ください。
追記
本資料は、株式会社sustenキャピタル・マネジメント(以下「当社」といいます。)と投資一任契約を締結されているお客様に対する情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的としたものではありません。当社が提供する商品・サービスはいずれも値動きのある有価証券等に投資しますので、投資評価額は変動します。したがって元本が保証されているものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報・データ等に基づいて作成されていますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された市況や見通し等は、本資料作成時点の当社の見解であり、将来の動向や結果を示唆あるいは保証するものではありません。また、将来予告なしに変更する場合があります。 ポートフォリオの内容は市場の動向等を勘案して随時変更されます。
投資一任契約の概要
当社の投資一任サービスでは、お客さまとの投資一任契約に基づき、お客さまに代わって預り資産の管理・運用を行います。具体的には、お客さまにあらかじめ同意いただいた上で、当社が設定・運用する複数の投資信託を対象とした投資運用を行います。投資一任契約のお申込みに当たっては、契約締結前交付書面をお渡ししますので、必ず内容をよくお読み下さい。
投資一任契約に係る費用
・運用報酬:投資対象である当社投資信託から当社に支弁される信託報酬を通じてお支払いいただき、それ以外には発生しません。ただし、当社投資信託の内、「グローバル資産分散ポートフォリオ(R)」と「グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)」に投資する場合は、当社に支弁される信託報酬はありませんが、次項以下に規定する運用成果報酬をお支払いいただくものとします。
・運用成果報酬:毎月最終営業日(以下、「報酬計算日」といいます。)時点の「成果報酬対象評価額(「グローバル資産分散ポートフォリオ(R)」と「グローバル複合資産ポートフォリオ(G)」に係る預り資産の評価額合計を指し、未収受の運用成果報酬を含みます。以下同じ。)」が、それ以前の各報酬計算日における過去最高の成果報酬対象評価額(当該報酬計算日に計算される運用成果報酬の控除後)を超過している場合、その超過分に報酬料率(9 分の1.1 から6 分の1.1(税抜9 分の1 から6 分の1))を乗じたもの。詳細については契約締結前交付書面をご確認ください。
投資先の投資信託保有期間中に間接的にご負担いただく費用
・運用管理費用(信託報酬):年率0.022%~0.2112%(税込、投資信託の種類の追加によっては上限が変更される可能性があります。)
・その他の費用及び手数料:組入有価証券売買時の売買委託手数料、外貨建資産の保管費用、監査費用、信託財産に関する租税等、保有する期間等に応じてご負担いただく費用があります。運用状況等により変動するため、事前に料率や上限額等を表示することができません。
投資一任契約に係るリスク
・投資対象とする投資信託は、主に価格変動のある有価証券等(外貨建資産の場合は為替変動も含まれます。)に投資しますので、基準価額は変動します。基準価額の変動要因としては、主に株価変動リスク、先物取引利用に伴うリスク、金利変動リスク、流動性リスク、信用リスク、為替変動リスク、カントリーリスク、および商品市況の変動リスクが挙げられますが、これに限定されません。したがって、投資者(受益者)の皆さまの投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
・投資信託の運用による損益はすべて投資者の皆さまに帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。また、投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。お取引の前に投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面を必ずご確認ください。
その他の留意点
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