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    資産運用と決断(シャープ・レシオ)
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    資産運用と決断(シャープ・レシオ)

    公開日:2022年6月14日\tiny公開日:2022年6月14日公開日:2022年6月14日

    資産運用と決断

    この記事の内容

    • 資産運用と決断
    • 2種類の株式から選ぶ決断
    • リスクとリターンのバランスはシャープ・レシオで計る
    • おわりに
    • 注記

    人間は1日に最大3万5000回の決断をしているそうです。決断はたとえ小さいものであっても多くを繰り返すと脳に負担がかかり、疲れの原因にもなります。

    資産運用においても、大量の決断が求められます。どの株式を買うのか、どれくらい買うのがいいのか?悩ましい決断に迫られます。買った後も、安心はできません。ひとたび市場が下落すれば、もう手放したほうが良いのか、それともチャンスとみてさらに買い増すのかという迷いが生じます。

    こういう場合には、理にかなったルールや方針があれば、直感や経験に頼ることなく決断する手助けになり、幾分負担は軽減されるでしょう。つまり、日々の価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的に値動きがどういう確率でどう推移する傾向にあるのかを把握する。そしてそれらをどのように組み合わせると最も有利なのかをあらかじめ特定しておき、そのルールに基づき、機械的に投資配分の調整を行おうという考え方です。

    こうしたルールを合理的に構築する際に、参考になるのが1950年代より確立されてきた現代ポートフォリオ理論です。今回は、現代ポートフォリオ理論において最も基本的なコンセプトといっても過言ではないシャープ・レシオについてご紹介いたします。

    2種類の株式から選ぶ決断

    たとえば以下の2つの株式AとBから、どちらに投資するかを決断する場合を想定します。

    • 株式A:1年間のリターンの平均(期待値)が投資元本に対して5%
    • 株式B:1年間のリターンの平均(期待値)が投資元本に対して7%

    100万円を投資すると1年後には平均で105万円になる株式Aと平均で107万円になる株式Bがあります。リターンに着目すると株式Bのほうが有利なので、ついそちらが魅力的に見えてしまいます。

    ここで、気をつけたいのは、あくまで「平均(期待値)」の話であるということです。平均の話なので、長く続けてならすとその程度の値になるといっているに過ぎません。一年あたりでみると5%よりも高いリターンの年もあれば、低いリターンの年もあり、時には大きなマイナスになることもあります。そしてそのブレ幅は株式の銘柄によって大きく異なります。

    つまり、平均(期待値)も大事ですが、「平均からどの程度ずれた結果になりうるのか」=「標準偏差」も同じくらい重要であるということです。

    それを踏まえて、標準偏差も同時にチェックしてみます。

    • 株式A:1年間のリターンの平均は5%、標準偏差は20%
    • 株式B:1年間のリターンの平均は7%、標準偏差は35%

    こうしてみると、株式BはAに比べて平均値が高いですが、ばらつき度合いもそれなりに高いため、より大きなプラスやより大きなマイナスも出やすい傾向にあるということがわかります。平均でみるとハイリターンである株式Bが優れていますが、標準偏差ではローリスクである株式Aの方が優れています。

    リスクとリターンのバランスはシャープ・レシオで計る

    では、どちらのほうが総合的に優れていると言えるのでしょうか?

    一般には、「不確実性に対する見返り」の記事でお話したリスク回避度が人それぞれで異なるため、「一概には言えない」が答えになります。ただし、手持ちの資金のうちいくら投資に回すのかが自由に決められる場合は、「平均÷標準偏差」の比率が大きくなるように投資するのが良いことがわかっています。そのため、この比率は提唱者であるウィリアム・シャープ(1934-)の名前を冠しシャープ・レシオ(Sharpe Ratio)と呼ばれています。

    💡

    シャープ・レシオが高くなるものを選択すると効率の良い投資

    上記の比較で実際にそれぞれのシャープ・レシオを計算してみましょう。

    • 株式A:平均5%÷標準偏差20% = シャープ・レシオ0.25
    • 株式B:平均7%÷標準偏差35% = シャープ・レシオ0.20

    こうしてみると株式Aの方が優れていることがわかります。

    株式Aは標準偏差1%分あたり0.25%のリターンを生み出します。一方、株式Bは同じく標準偏差1%あたり0.20%しかリターンを生み出しません。株式Bはリターンの平均値自体は確かに大きいものの、それを達成するのに取らなければいけないリスクもそれ以上に大きいのです。

    💡

    株式Aは平均(期待値)だけでみると劣るように見えるが、標準偏差(リスク)が低いため、"割が良い"投資

    おわりに

    これはクルマの燃費と似ている考え方ですよね。例えば、10リットルのガソリンで200km走るクルマであればガソリン1リットルあたり20km走る。つまり燃費は20km/リットルです。

    投資においてリスクはガソリンのようなものです。ガソリンを入れないとクルマは走らないのと同様、投資ではリスクを取らないとリターンは得られません。また、リスクを多く使うとリターンは大きくなります。

    ただし、どれくらい大きくなるかは、どんなクルマにガソリンをいれるのかに左右されます。

    • 燃費を良いクルマにのると同じ距離を走るのに必要なガソリンの量は減るためお得です。
    • 投資においてもシャープ・レシオが高いものを選ぶと、取るべきリスクの量が減るためお得です。

    クルマを選ぶときに燃費が重要な項目であるのと同様、投資においてもシャープ・レシオの観点を取り入れることが重要だと言えそうです。

    次回は、このシャープ・レシオを活用してさまざまな投資対象の比較をしていきたいと思います。

    注記

    シャープ・レシオは、

    (シャープ・レシオ)=(年率期待リターン)−(無リスク利子率)/(年率標準偏差)(シャープ・レシオ) = {(年率期待リターン) - (無リスク利子率)} / (年率標準偏差)(シャープ・レシオ)=(年率期待リターン)−(無リスク利子率)/(年率標準偏差)

    と定義されています。しかし、ここでは簡単のため、表示している平均リターンを無リスク利子率を上回る期待リターン、すなわち超過リターンとみなして計算をしています。このように、超過リターンに基づいて投資判断を行うことは、実務では多用されています。

    今回は市場の効率性の分類についてご紹介しました。また、テクニカル分析、ファンダメンタル分析と市場の効率性の3つの区分との関係をご説明しました。

    セミストロング・フォームの市場ではアクティブ運用を選択する理由はなくなってしまいますが、アクティブ運用が行われなくなれば市場は非効率になるというパラドックスが生じます。

    市場の効率性と投資戦略は密接に関わるものですので、ご自身が投資を行う運用戦略や投資信託がどのような背景でその投資手法を取っているか考えてみるのも投資を理解する手助けとなるかもしれません。

    執筆者

    山口 雅史、CMA

    代表取締役 最高投資責任者

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