Logo
    サービスサイトへ

    Search

    Report

    Learning

    NISA

    Special

    分散投資
    📓

    分散投資

    公開日:2022年6月21日\tiny公開日:2022年6月21日公開日:2022年6月21日

    分散投資

    この記事の内容

    • 分散投資
    • 2種類の株式を混ぜると?
    • 投資比率を変化させると
    • 平均リターン
    • 標準偏差
    • 最適な投資割合
    • おわりに
    • 数式での表現

    前回の記事「資産運用と決断」では、株式AとBのどちらに投資する方が効率的か、ということをシャープ・レシオという指標を使って判断しました。以下の株式AとBの例では、株式Bの方が平均リターンは高いですがリスク(標準偏差)も高く、シャープ・レシオで判断すると株式Aの方が割の”良い”投資であることがわかります。

    1年間の平均(期待値)リターン
    標準偏差
    シャープ・レシオ
    株式A
    5%
    20%
    0.25
    株式B
    7%
    35%
    0.20

    今回は、株式AとBの両方に投資する場合を考え、どのようなメリットがあるのか。また、それぞれどの程度の割合で投資すればよいか考えてみます。

    2種類の株式を混ぜると?

    まずはじめに、株式AとBに5年間投資する場合を考えます。5年間の平均リターンと標準偏差が先程の表の値になるようなリターンの推移を想定します。

    1年目
    2年目
    3年目
    4年目
    5年目
    平均
    標準偏差
    株式A
    12.0%
    -11.0%
    25.0%
    -21.0%
    20.0%
    5.0%
    20%
    株式B
    -25.5%
    20.5%
    -34.5%
    29.5%
    45.0%
    7.0%
    35%
    image

    株式AとBはどちらもプラスのリターンの年とマイナスのリターンの年がありますが、1年あたりの平均(期待値)では株式Aは5%、株式Bは7%のリターンとなります。

    標準偏差はデータのばらつき度合いを数値で表したもので、期待リターンの不確実性を示すものです。金融ではこの標準偏差をリスクと呼んでいます。株式Aの標準偏差は20%、株式Bは35%となっていますが、株式Bの方がリターンの出方の不確実性(リスク)が高いということを示しています。実際に棒グラフを見ると、株式Bの方がリターンの変動が激しいことがわかります。

    この株式AとBにそれぞれ50%ずつ投資するケースを考えてみます。この株式AとBの組み合わせ(以後、「ポートフォリオ」と呼びます)のリターンの推移と1年間の平均リターン、および標準偏差を計算してみます。

    1年目
    2年目
    3年目
    4年目
    5年目
    平均
    標準偏差
    株式A
    12.0%
    -11.0%
    25.0%
    -21.0%
    20.0%
    5.0%
    20.0%
    株式B
    -25.5%
    20.5%
    -34.5%
    29.5%
    45.0%
    7.0%
    35.0%
    ポートフォリオ(株式Aに50%、株式Bに50%)
    -6.8%
    4.8%
    -4.8%
    4.3%
    32.5%
    6.0%
    15.7%
    image

    株式A、Bにそれぞれ50%ずつ投資したポートフォリオも株式A、Bと同様にリターンがプラス年とマイナスの年がありますが、平均すると6.0%になります。ちょうど株式Aの平均5.0%と株式Bの平均7.0%の間の数値になっています。

    一方、ポートフォリオの標準偏差は15.7%になりました(標準偏差の計算方法については、「標準偏差」の記事をご覧下さい。)。この数値は株式Aの標準偏差20.0%と株式Bの標準偏差35.0%よりも小さい値となっており、一見すると不思議な現象に見えます。50度の湯と20度の水を混ぜて10度の水になったようなものです。

    標準偏差の数値だけ見ると奇怪に見えますが、リターン推移の棒グラフを見ると納得できます。株式AとBのリターンが相殺し合ってポートフォリオのリターンの変動が小さくなっているだけです。このように、投資する銘柄の標準偏差の加重平均よりもポートフォリオの標準偏差が小さくなることを分散効果と言います。今回のケースでは、分散効果によってポートフォリオの標準偏差は株式AとBどちらの標準偏差よりも小さくなりました。

    一般に、複数の資産に投資をすることで、ポートフォリオのリスクは元の資産のリスクの加重平均よりも低下させることができます。そのリスクの低下はそれぞれの資産の相関によりもたらされているものです。詳しくは「共分散と相関」の記事をご覧下さい。

    投資比率を変化させると

    次に、株式Aと株式Bへの投資比率を変えていくと、ポートフォリオの平均リターンと標準偏差がどのように変化するか見ていきましょう。

    平均リターン

    まずは平均リターンです。

    株式Aへの投資比率
    100%
    75%
    50%
    25%
    0%
    株式Bへの投資比率
    0%
    25%
    50%
    75%
    100%
    ポートフォリオの平均リターン
    5.0%
    5.5%
    6.0%
    6.5%
    7.0%
    image

    株式Aの投資割合が多いほどポートフォリオの平均リターンは5%に近づき、株式Bの投資割合が多いほど7%に近づきます。

    2銘柄のポートフォリオの平均リターンは、構成銘柄の平均リターンの投資比率をウェイトとする加重平均に等しくなります。

    ポートフォリオの期待リターン=資産Aの期待リターン×資産Aの投資比率+資産Bの期待リターン×資産Bの投資比率ポートフォリオの期待リターン=資産Aの期待リターン×資産Aの投資比率+資産Bの期待リターン×資産Bの投資比率ポートフォリオの期待リターン=資産Aの期待リターン×資産Aの投資比率+資産Bの期待リターン×資産Bの投資比率

    標準偏差

    次に、ポートフォリオの標準偏差の変化を見てみます。

    株式Aへの投資比率
    100%
    75%
    50%
    25%
    0%
    株式Bへの投資比率
    0%
    25%
    50%
    75%
    100%
    ポートフォリオの標準偏差
    20.0%
    13.5%
    15.7%
    24.4%
    35.0%
    image

    株式Aへの投資比率が100%の時は株式Aの標準偏差である20%ですが、先程の株式AとBに50%ずつ投資するケースのように、株式Bを組み入れるとある比率まではポートフォリオの標準偏差は株式Aの標準偏差20%よりも下がることがわかります。一定程度株式Bの組み入れ比率が高まってくると、ポートフォリオの標準偏差は株式Bの標準偏差である35%に近づいていきます。

    株式AとB両方に投資することで、分散効果によりポートフォリオのリスクを下げることができます。

    2資産の場合のポートフォリオの標準偏差は、以下の式で計算することが出来ます。ポートフォリオの標準偏差の計算には投資銘柄の相関係数が必要になります

    ポートフォリオの分散=(資産Aの標準偏差×資産Aの投資比率)2+(資産Bの標準偏差×資産Bの投資比率)2+2×相関係数×(資産Aの標準偏差×資産Aの投資比率)×(資産Bの標準偏差×資産Bの投資比率)\begin{align*} ポート&フォリオの分散\\ =&\left(資産Aの標準偏差\times資産Aの投資比率\right)^2\\ &+\left(資産Bの標準偏差\times資産Bの投資比率\right)^2\\ &+2\times相関係数\times\left(資産Aの標準偏差\times資産Aの投資比率\right)\times\left(資産Bの標準偏差\times資産Bの投資比率\right) \end{align*}ポート=​フォリオの分散(資産Aの標準偏差×資産Aの投資比率)2+(資産Bの標準偏差×資産Bの投資比率)2+2×相関係数×(資産Aの標準偏差×資産Aの投資比率)×(資産Bの標準偏差×資産Bの投資比率)​

    今回の例では株式AとBの相関係数は-0.46です。相関係数が-0.46なので株式Aと株式Bは負の相関があるといいます。負の相関があるということは、株式Aのリターンと株式Bのリターンは逆の動きをする傾向があるということです。

    相関係数の計算方法については、「共分散と相関」の記事をご覧下さい。

    最適な投資割合

    ここまで、株式AとBを組み入れたポートフォリオの平均リターンと標準偏差を見てきました。これらの結果から株式AとBの最適な投資比率はどのようになるでしょうか。最も効率的な投資を判断するためにはシャープ・レシオを計算するとよいです。

    シャープ・レシオ=(年率期待リターン−無リスク利子率)÷年率標準偏差シャープ・レシオ=(年率期待リターン-無リスク利子率)÷年率標準偏差シャープ・レシオ=(年率期待リターン−無リスク利子率)÷年率標準偏差

    この記事では簡単のため、無リスク利子率を0%として計算しています。

    それでは、株式AとBの投資比率とポートフォリオの平均リターンと標準偏差、シャープ・レシオの変化を見ていきましょう。

    株式Aへの投資比率
    100%
    75%
    50%
    25%
    0%
    株式Bへの投資比率
    0%
    25%
    50%
    75%
    100%
    ポートフォリオの平均リターン
    5.0%
    5.5%
    6.0%
    6.5%
    7.0%
    ポートフォリオの標準偏差
    20.0%
    13.5%
    15.7%
    24.4%
    35.0%
    ポートフォリオのシャープ・レシオ
    0.25
    0.41
    0.38
    0.27
    0.20
    image

    ポートフォリオのシャープ・レシオも標準偏差と同様に、株式AとBのシャープ・レシオの値の間で上下しながら変化しています。

    表の結果から、25%刻みで株式AとBの投資割合を変化させた場合、シャープ・レシオが一番高いのは、株式Aに75%、株式Bに25%投資するポートフォリオだとわかりました。この資産配分のポートフォリオは平均リターンが5.5%、標準偏差が13.5%であり、株式Aよりも平均リターンは高く、標準偏差は低くなっています。明らかに株式Aだけに投資するよりも、この資産配分で投資を行った方がリスクを抑え、リターンを高めることができます。

    もし、ポートフォリオの分散効果を知らない投資家がそれぞれの銘柄のシャープ・レシオだけに着目すると株式Aを選択することになります。分散効果を知っていれば、株式Aにだけ投資するよりも株式Bにも投資することでポートフォリオ全体のリスクを下げることができ、株式Aよりもシャープ・レシオの高い効率的な投資ができます。

    ちなみに、最もシャープ・レシオが高い最適な資産配分は株式Aに66%、株式Bに34%投資する場合であり、ポートフォリオの平均リターンは5.8%、標準偏差は13.1%、シャープ・レシオは0.44となります。この最適な資産配分はExcelのソルバーなどの機能を使うことで算出できます。

    おわりに

    • 2銘柄のポートフォリオの期待リターンは、それぞれの銘柄の期待リターンに投資比率をかけた加重平均の値に等しい。
    • 2銘柄のポートフォリオの標準偏差は、それぞれの銘柄の標準偏差に投資比率をかけた加重平均の値より小さくなる。これを分散効果と言う。
    • 分散投資によって、単一の銘柄に投資をするよりも効率のよい(シャープ・レシオが高い)投資ができる。

    数式での表現

    平均をμ\muμ、標準偏差をσ\sigmaσ、相関係数をρ\rhoρ、資産1, 2への投資比率をそれぞれw1,w2w_1, w_2w1​,w2​とするポートフォリオの期待リターンと標準偏差は以下のように計算できます。

    ポートフォリオの期待リターン:μp=w1μ1+w2μ2\mu_p=w_1 \mu_1 + w_2 \mu_2μp​=w1​μ1​+w2​μ2​

    ポートフォリオの分散:σp2=w12σ12+w22σ22+2w1w2ρ12σ1σ2\sigma_p^2=w_1^2 \sigma_1^2 + w_2^2 \sigma_2^2 + 2w_1 w_2 \rho_{12} \sigma_1 \sigma_2σp2​=w12​σ12​+w22​σ22​+2w1​w2​ρ12​σ1​σ2​

    ポートフォリオの標準偏差:σp=w12σ12+w22σ22+2w1w2ρ12σ1σ2\sigma_p=\sqrt{w_1^2 \sigma_1^2 + w_2^2 \sigma_2^2 + 2w_1 w_2 \rho_{12} \sigma_1 \sigma_2}σp​=w12​σ12​+w22​σ22​+2w1​w2​ρ12​σ1​σ2​​

    執筆者 運用本部 殿本 隼人、CFA

    💡
    「投資理論の基礎」コンテンツ 前にもどる    次にすすむ
    SUSTEN LAB.

    © 株式会社sustenキャピタル・マネジメント|金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3201号|加入協会:一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会