SUSTEN 社内勉強会 Vol.53 2024年7月29日~8月2日の振り返り
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(7/29~8/2、海外市場は7/26~8/1)の米国市場の動きを振り返ってみましょう。株式は7/31までは堅調でしたが、8月に入ってからは下落が続いています。債券は価格が大きく上昇し利回りは大きく低下しました。為替は円高ドル安が加速する展開でした。
はまだ:この週の注目イベントは日米の中央銀行の政策決定でしたが、特に日銀が今後の利上げの可能性についても示唆したことが為替相場に大きく影響したようです。FOMCはほぼ市場予想通りの結果だったと思いますが、株式市場は8/1、2と下落が続きました。何と言っても、米国の債券利回りの低下が続いたのが目立ちましたね。8/2の時点で前週末の4.2%から3.8%へと0.4%も下がっていました。
はしもと:米国の景気が想定以上に減速しているのではないか、との見方が強まったとニュースで聞きました。今までは米国の経済は堅調さを保っていたような印象がありましたけど…。
ひろた:確かに8/2の債券市場の動きにはかなり驚かされました。一週間でこれほどの米国債の利回り低下が起こったのは昨年3月半ば以来でしたが、その時は、米国のシリコンバレー銀行という地銀が経営破綻したニュースが出て市場に動揺が広がったタイミングでした。今回はその時のような信用不安にそのまま直結するようなイベントは起きていないのですが…。
はまだ:景気の減速が突然心配されるようになったのは何か理由があるのでしょうか。
ひろた:8/2に公表された雇用統計ですね。特に、失業率が事前予想の4.1%を上回る4.3%だったことが注目されていました。非農業部門雇用者数、平均時給なども予想を下回る伸びに留まっていました。
はまだ:そうだったんですね。失業率が予想よりも0.2%上回っただけで、それほど大きな影響があるとは知りませんでした。
はしもと:失業率って4%でも高い方なんでしょうか。
ひろた:実は長い目で見るとそうでもないんです。米国の失業率の平均は過去10年間では4.8%、過去30年間では5.6%なので、まだ過去の平均値から見ると低い水準にとどまっています。一方で、元FRBの人が考案し、過去70年間にわたる景気後退の開始を正確に言い当てたと言われる 「サーム・ルール」 という方法があり、それによると、この7月の失業率が、現時点で既に景気後退が始まっていることを示す水準に達している、ということなんですね。
はまだ:えっ、ほんとですか? 米国の経済は底堅く推移しているって思っていたのに…。株価もついこの間、最高値を更新したばかりでしたよね?
ひろた:市場の参加者にとってもサプライズだったのかもしれませんね。但し、この「サーム・ルール」というのは、過去1年間に最も失業率が低かった水準からどのくらい継続して失業率が上昇したか、をチェックするものなので、去年の失業率が過去にないほど低水準だったことや、労働力人口が移民の流入で増えたことが影響していたとも言われています。 景気が本当に後退していたかどうかはともかく、米国経済の風向きが変わってきていることや、今回の失業率上昇のようなネガティブな情報に過剰に反応するような地合いだったいうことが注目すべき点なのかもしれません。
はしもと:ありがとうございました!今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!