Rファンドの特徴や性質について
いつもSUSTENをご利用いただきありがとうございます。
本記事では、当社投資一任サービスでご提供中のSUSTENのグローバル資産分散ポートフォリオ(R)(以下、「Rファンド」とします)の特徴や性質についてご紹介いたします。
Rファンドと他社の類似投資信託の違いについてもご説明しておりますので、すでにRファンドを保有中のお客様も、これから当社の投資一任サービスのご利用を検討されている方も、ぜひご一読いただければ幸いです。
Rファンドの概要とこれまでの運用実績
Rファンドとは、当社の投資一任サービスにてご提供している投資一任専用ファンドです。
投資先は割合の大きい順に米国株式、先進国株式、新興国株式などとなり、「グローバル資産分散ポートフォリオ(R)」の正式名称の通り、主に世界の株式市場に広く投資を行うことでリターンの獲得を目指しております。
基準価額の推移は次のグラフの通りです。ファンドの設定から2024年10月11日時点までの間、基準価額はおよそ1.6倍に成長しています。
Rファンドの特徴的な為替ヘッジについて
次にRファンドの特徴の一つである、為替リスクのヘッジ方針について説明いたします。
海外資産に投資する投資信託には、大きく分けて①為替ヘッジ有(=フルヘッジ)②為替ヘッジ無しの2種類に大別されますが、Rファンドはこのどちらにも属さない部分ヘッジという方針を採用しています。
Rファンドは保有資産のうち、為替リスクが発生する資産に対して部分的に為替ヘッジを行うことで、為替ヘッジなしのファンドに比べ為替変動の影響を一定程度に抑えられる設計としています。
ここで、為替ヘッジの程度によって生まれるリターンの差を確認するため、以下の累積リターンの比較グラフをご覧ください。(※Rファンドの運用が開始した2020年10月時点からの比較です)
グラフでは、Rファンドとほぼ同様の資産配分で合成した①為替ヘッジなし②為替部分ヘッジ③為替100%ヘッジの累積のリターンを比較しました。
2020年以降に進行した円安ドル高を背景として、為替ヘッジなし→部分ヘッジ→為替100%ヘッジの順にリターンが高いことがお分かりいただけると思います。
Rファンドの運用開始以降、為替レートは約105円(2020年10月8日)から約149円(2024年10月11日時点)へと、約41%も円安ドル高が進行しています。
部分ヘッジを行うことで、この期間の為替相場の変動の影響を軽減させつつ、リターンは①と③の中間の結果となったことがご理解いただけるのではないでしょうか。
為替ヘッジとは
そもそも為替ヘッジとは、為替変動のリスクを低減させることです。以下、取引例を示します。
<円高ドル安の場合>
例えば為替ヘッジを行わずに1ドル100円の時に米国株式Aを100株購入したのち、1ドル80円まで円高ドル安が進行すると、株価自体は変わらなくても日本円建ての資産価格は10,000円から8,000円に目減りしてしまいます。(=為替差損が発生)
しかし為替ヘッジで将来の為替レートを1ドル100円に固定しておけば、1ドル80円まで円高が進行しても為替差損を抑えられます。
<円安ドル高の場合>
為替ヘッジをせずに1ドル100円から120円に円安が進めば、米国株式Aの日本円建ての資産価格は10,000円から12,000円に上昇します。一方で為替ヘッジを行った状態で同じように円安が進むと、1年後の日本円建ての資産価格は10,000円のままとなりますので、為替差益を享受できないことになります。
(※ここでは単純化のために通貨の金利差を考慮せずご説明しています。為替ヘッジの詳細についてはこちらの記事(為替のリスクとそのヘッジ)をご参照ください。)
近年証券会社の売れ筋ランキングの上位となっているのは、全世界の株式が投資対象となる商品の中でも、特に円安ドル高時に為替のリターンを最大限に享受できる為替ヘッジなしの商品です。
投資信託の純資産総額ランキングを確認すると、10位までのすべてを為替ヘッジなしの投資信託が占めている結果となり、その人気が伺い知れます。(※1 ※2)
純資産総額順 | ファンド名 | 為替ヘッジの有無 |
1 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 無 |
2 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 無 |
3 | アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信D毎月決算型(F)予想分配金提示型 | 無 |
4 | SBI・V・S&P500インデックスF《SBI・V・S&P500》 | 無 |
5 | 楽天・全米株式インデックスF《楽天・VTI》 | 無 |
6 | インベスコ世界厳選株式オープンF(毎月決算型)《世界のベスト》 | 無 |
7 | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし) | 無 |
8 | netWIN GSテクノロジー株式F Bコース(為替ヘッジなし) | 無 |
9 | グローバルESGハイクオリティ成長株式F(為替ヘッジなし) | 無 |
10 | ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月分配型) | 無 |
※1 一般社団法人 投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より 基準日:2024年10月11日
※2 マネー・リザーブファンド、およびETFを除く
Rファンドが部分ヘッジを行う理由
証券会社などでは為替ヘッジなしの商品が売れ筋となっている中で、Rファンドが部分ヘッジを採用するのはなぜでしょうか?
結論からお伝えすると、Rファンドは伝統的な投資理論に基づき、将来の為替レートに対して中立の立場を取るファンドとして設計されているからです。
もし、長期的に円安が進行し続けるという見通しの下では、為替ヘッジのない商品に投資することが合理的ですが、果たして今後も数年、数十年と円安に進み続けると言い切れるでしょうか。
Rファンドが部分ヘッジを行う根拠となる理論は、Fischer Black氏が提唱したユニバーサル・ヘッジング(Universal Hedging ※3)という学説です。(Fisher Black (1989) “UNIVERSAL HEDGING: OPTIMIZING CURRENCY RISK AND REWARD IN INTERNATIONAL EQUITY PORTFOLIOS”)
Blackによれば、すべての投資家が合理的な投資を行うという前提に立てば、すべての投資家にとって最適といえる為替ヘッジ比率(※4)を導出できます。その比率は0%でも100%でもなく、部分的なヘッジとされます。
ここで注目したいのは、「すべての投資家が合理的な投資を行う」という前提です。
この前提は、現実離れした想定に聞こえますが、実はいわゆる「インデックス投資」とまったく同じ考え方をしています。
インデックス投資(より正確にはパッシブ運用)は、近年日本でも大きく市民権を得てきた投資手法であり、機関投資家においても運用方針のベースに据えられることも多い投資方法ですが、その根底にあるのは「効率的市場仮説」と「資本資産価格モデル(CAPM)」という投資理論です。これらの二つの投資理論が正しければ、市場ポートフォリオ(※5)が最も効率的なポートフォリオであるという結論が導かれるのですが、Blackのユニバーサル・ヘッジングもまったく同じ前提に立って導出されている理論であり、いわばインデックス投資を為替に拡張したものといえます。
Rファンドは、伝統的な投資理論である「効率的市場仮説」と「資本資産価格モデル」が正しい場合に最も効率的となるように設計された投資信託であり、理論に則って投資を行いたいすべての投資家にとって基本のポートフォリオとなります。
※3 ユニバーサルヘッジングの詳細はこちらの記事、効率的市場仮説の詳細はこちらの記事、CAPMの詳細はこちらの記事でご確認ください。
※5 株式市場のあらゆる銘柄を時価総額の比率で組み込んだポートフォリオ
RファンドとGファンドの関係性
ここまでの文章をお読みになると「ではRファンドだけに投資していればいいのでは」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、Rファンドが最高のポートフォリオになるのはあくまで「効率的市場仮説」と「資本資産価格モデル」が完全に正しいときに限ります。
この2つの学説は、後の実証研究においても高い有効性を持っているとされますが(事実、これほどインデックス投資が普及したことがその有効性を物語っています)、一方で少なくない批判や改善の指摘もなされてきました。
こうした古典的理論を採用したRファンドの弱点とも言える部分を補うために生まれたのが、グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)(以下、「Gファンド」)です。
Gファンドは、ARP(オルタナティブ・リスク・プレミアム)と呼ばれる新たなリターンの源泉に着目しながら、最新の機械学習戦略を取り入れたポートフォリオ構成を行っています。また為替リスクに対してパッシブな姿勢を持つRファンドとは異なり、為替に対してもアクティブにリターンを追求します。
当社の投資一任サービスでは、複数のファンドを組み合わせられるようにしておりますが、RファンドとGファンドを1対1の割合で保有いただけることで、長期的に最適な(リスクあたりのリターンが最大化できる)運用を実現できると考えております。投資家の皆さま一人ひとりのリスク許容度や、SUSTEN以外で実施されている資産運用の状況も異なることから、すべてのお客さまに対して1:1の比率をおすすめすることはありませんが、私たちの投資哲学においては、何も制約を持たない投資家にとって最適な比率と言えるとご承知おきいただければ幸いです。
(SUSTENのポートフォリオ診断をされたい方はこちら)
私たちが目指すのは、将来のリスクあたり期待リターンの最大化です。
その時々の消費者的なトレンドを反映した商品ではなく、投資は科学であるという考え方に基づき、長期的に保有いただいた際にその効果を実感できるような商品をご提供し続けたいと考えております。
今後とも、当社サービスをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
執筆者
小林千鶴 運用管理部
監修者
岡野 大
代表取締役 最高経営責任者
追記
本資料は、株式会社sustenキャピタル・マネジメント(以下「当社」といいます。)と投資一任契約を締結されているお客様に対する情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的としたものではありません。当社が提供する商品・サービスはいずれも値動きのある有価証券等に投資しますので、投資評価額は変動します。したがって元本が保証されているものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報・データ等に基づいて作成されていますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された市況や見通し等は、本資料作成時点の当社の見解であり、将来の動向や結果を示唆あるいは保証するものではありません。また、将来予告なしに変更する場合があります。 ポートフォリオの内容は市場の動向等を勘案して随時変更されます。
投資一任契約の概要
当社の投資一任サービスでは、お客さまとの投資一任契約に基づき、お客さまに代わって預り資産の管理・運用を行います。具体的には、お客さまにあらかじめ同意いただいた上で、当社が設定・運用する複数の投資信託を対象とした投資運用を行います。投資一任契約のお申込みに当たっては、契約締結前交付書面をお渡ししますので、必ず内容をよくお読み下さい。
投資一任契約に係る費用
・運用報酬:投資対象である当社投資信託から当社に支弁される信託報酬を通じてお支払いいただき、それ以外には発生しません。ただし、当社投資信託の内、「グローバル資産分散ポートフォリオ(R)」と「グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)」に投資する場合は、当社に支弁される信託報酬はありませんが、次項以下に規定する運用成果報酬をお支払いいただくものとします。
・運用成果報酬:毎月最終営業日(以下、「報酬計算日」といいます。)時点の「成果報酬対象評価額(「グローバル資産分散ポートフォリオ(R)」と「グローバル複合資産ポートフォリオ(G)」に係る預り資産の評価額合計を指し、未収受の運用成果報酬を含みます。以下同じ。)」が、それ以前の各報酬計算日における過去最高の成果報酬対象評価額(当該報酬計算日に計算される運用成果報酬の控除後)を超過している場合、その超過分に報酬料率(9 分の1.1 から6 分の1.1(税抜9 分の1 から6 分の1))を乗じたもの。詳細については契約締結前交付書面をご確認ください。
投資先の投資信託保有期間中に間接的にご負担いただく費用
・運用管理費用(信託報酬):年率0.022%~0.88%(税込、投資信託の種類の追加によっては上限が変更される可能性があります。)
・その他の費用及び手数料:組入有価証券売買時の売買委託手数料、外貨建資産の保管費用、監査費用、信託財産に関する租税等、保有する期間等に応じてご負担いただく費用があります。運用状況等により変動するため、事前に料率や上限額等を表示することができません。
投資一任契約に係るリスク
・投資対象とする投資信託は、主に価格変動のある有価証券等(外貨建資産の場合は為替変動も含まれます。)に投資しますので、基準価額は変動します。基準価額の変動要因としては、主に株価変動リスク、先物取引利用に伴うリスク、金利変動リスク、流動性リスク、信用リスク、為替変動リスク、カントリーリスク、および商品市況の変動リスクが挙げられますが、これに限定されません。したがって、投資者(受益者)の皆さまの投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
・投資信託の運用による損益はすべて投資者の皆さまに帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。また、投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。お取引の前に投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面を必ずご確認ください。
その他の留意点
投資一任契約の締結および投資一任契約に基づく投資信託の買付けは、金商法第37条の6の規定(いわゆるクーリング・オフ)の適用はありません。
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