PERFORMANCE
月次アップデートレポート特集LEARNING
はじめての方へ投資理論の基礎ARPのご紹介その他NISA
NISAの仕組みOTHERS
メディア紹介ウィークリーマーケットレポート本ページは2023年末までの旧NISA制度についての解説記事です。 2024年から制度変更となった新しいNISAについてお知りになりたい方は、当社が運営するNISA制度解説Webサイト「ポケットNISA」をご覧ください。
意外な落とし穴も?”一般NISA”ってどんなしくみ?
前回の記事ではNISAの基礎をご紹介いたしました。
前回の復習
本記事では、一般NISAの基本的なしくみについて、お話しいたします。
一般NISA は2014 年に開始されました。
現在の制度では毎年120 万円×5 年間で、最大600 万円分の投資元本が非課税になります。
投資可能商品は上場株式、ETF、公募株式投信、REIT などさまざまで、上場株式の配当金や投資信託の分配金も非課税で受け取ることが可能です。 ※NISA 口座で買付けた上場株式の配当金等を非課税とするためには、各証券会社で「株式数比例配分方式」にすることが必要です。
また、1 年間の合計投資額が120 万円までであれば、一括投資・積立投資どちらでも使用できます(一括と積立の併用も可)。例えば、一括で96 万円以下の個別株式を購入し、残りの枠は毎月2万円ずつ投資信託を積み立てる、という使い方も可能です。
一般NISA では一括で比較的まとまった金額での運用ができ、株式の配当金等も非課税で受け取ることができるので、配当利回りの高い個別株式等を保有するというのもひとつの手です。一般NISA で個別株式を保有し株価が上昇した場合、売却益は非課税になるので、NISA のメリットを享受できるといえるでしょう。
一方でこのような一括投資にはデメリットもあります。
まず、損益通算*ができないという点です。
通常、金融商品を購入し売却損(譲渡損)が出た場合、同一口座内や他の金融機関で発生した売却益(譲渡益)との損益通算が可能ですが、NISA 口座内の金融商品は、一般口座や特定口座の金融商品との損益通算ができません。一般口座や特定口座でも投資している方にとっては、NISAで損失を出してしまうと非課税であることがデメリットとなる場合もあります。
また、現行のNISA 制度では一度使った枠は再利用することができません(つみたてNISA も同様)。
例えば、一般NISA で100 万円分購入した株式を全て売却した場合、NISA 口座内の株式保有額は0 円となります。
しかし、一度利用したNISA 枠は再利用できないため、この年の残りの非課税枠は20 万円のみです。この20 万円を使わず非課税枠が余った場合も、翌年の繰り越しはできません。
2024 年からは新NISA がスタートしますが、現行のNISA から新NISA へのロールオーバー*はできません。2019 年以降に一般NISA で購入した商品は5 年間の非課税期間を終えると、課税口座(一般口座・特定口座)へ自動的に移されます。
一般NISA で購入した商品が値下りした場合、ロールオーバーが可能なら非課税投資を継続できますが、課税口座*に移管されてしまうと取得価格は課税口座に移管した時点の価格となります。
つまり、課税口座とNISA 口座で、同じ株価で購入し同じ株価で売却したとしても、初めからNISA 口座を使用しなかった場合の方が支払う税金が少なかった、ということも起こり得るということです。
たとえば、2019 年に一般NISA で100 万円で購入した金融商品が、5 年間の非課税期間が終了する2023 年12 月末までに70 万円に値下がりしてしまったとします。新NISA にはロールオーバーができないため、課税口座に移管されます。
その後、値上がりし100 万円に戻った時点で売却した場合、初めから課税口座で購入していれば100 万円を受け取ることができますが、NISA 口座を使用した場合は、課税口座の取得価格が70万円とみなされます。
その結果、30 万円が課税対象となり、手元に受け取ることができるのは94 万円となります。 ※税率20%、売買手数料は掛からないものとします。