SUSTEN 社内勉強会 Vol.56 2024年8月19日~8月23日の振り返り
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(8/19~8/23、海外市場は8/16~8/22)の米国市場の動きを振り返ってみましょう。この週は金曜のジャクソンホール会議でのFRBパウエル議長の発言までは大きなイベントもなく、方向感の見えにくい動きでしたよね。ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言を受けて株高、債券高となって債券利回りは低下、為替は円高ドル安が進行しました。
はまだ:新規失業保険申請件数やPMI(米総合購買担当者景気指数)は米経済の減速を示唆する内容で、特に大きなサプライズなく通過しましたよね。
ひろた:そうですね。あとは7月のFOMC議事要旨が8/21に公表されましたし、雇用統計算出基準の改定が行われましたが、いずれも9月の利下げ観測をサポートする内容で、振り返ってみれば2日後のパウエル議長の発言と重なる点が多かった気がします。若干利回り低下を後押ししましたが、やはりジャクソンホール会議が一番市場を動かしたイベントでしたね。
はしもと:ジャクソンホール会議ってよく耳にするのですが、一体どんな会議なのでしょうか?
ひろた:アメリカ西部のワイオミング州ジャクソンホールにあるホテルでカンザスシティ連銀が毎年8月に開催している世界経済や金融政策の課題に関するシンポジウムです。FRB議長や各国の中央銀行要人、経済学者らが出席して議論する歴史ある会議ですね。シンポジウム自体は、より長期目線での金融政策の目指すべき方向を議論する場ですが、リーマンショック以降、FRB議長やECB総裁など中央銀行の要人が、直近の経済に関する見解や今後の金融政策の方向性について発言することが多くなり、市場の注目を集めることが増えたように思います。
はまだ:今後の金融政策の手掛りが得られるとなると注目が集まるのも当然ですね。今回はFRBパウエル議長はどんな発言をされたのでしょうか?
ひろた:具体的には、「インフレ上振れリスクは後退し、雇用への下振れリスクが高まった」、「力強い労働市場を支えるためにあらゆる措置を講じる」、「政策調整の時期が到来した。進むべき方向は明確だ」、(利下げの時期とペースは)「今後発表されるデータや変化する見通し、リスクのバランスによって決まる」などの発言がありました。
はしもと:パウエル議長の発言、かなり利下げを意識しているように感じますね。
ひろた:そうですね、金融政策の方向感としては今後利下げをしていく方針である旨をFRB議長として今回はじめて名言しています。7月のFOMCでも利下げについて「早ければ9月の利下げが選択肢」との発言もありましたが、これよりもさらに踏み込んだ内容になっていますよね。市場は「利下げの時期と利下げの幅」まで言及されることを期待していて、そこまでは示されませんでしたが、市場は結果的にポジティブな反応を見せています。
はまだ:「リスクのバランスによって決まる」との発言がありますが、リスクのバランスって何のことでしょうか?
ひろた:これは、FRBが担っている2つの責務、「物価の安定」と「雇用の最大化」の両方を達成しようとする上でのリスクを指しています。この2つの責務を比べて、2年前であればインフレが上振れするリスクの方が高かったので金利を引き上げたが、今や雇用が下振れし失業率が上昇するリスクの方が高くなってきたので、金利を引下げる方向へと転換しつつあり、今後もこの2つのリスクの度合いを踏まえて金融政策を決めていきますよ、と表明しています。
はしもと:なるほど、インフレ率の方は順調に低下しているので、いよいよ利下げ間近、と言う感じですね。
ひろた:振り返れば、2年前のジャクソンホール会議でパウエル議長は、インフレ率抑制のために約半年前に開始していた利上げを今後も継続する姿勢を明確に示していました。そして1年前にも、さらなる利上げを選択肢に入れている旨の発言をしていましたが、今回は逆に利下げ開始の方針を打ち出しているんですね。この2年間でかなり大きく経済を取り巻く環境が変化し、それによって金融政策も大きく舵を切ることになったことを実感しています。
はしもと:ありがとうございました!今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!
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