SUSTEN 社内勉強会 Vol.47 2024年6月17日~6月21日の振り返り
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(6/17~6/21、海外市場は6/14~6/20)の動きを振り返ってみましょう。株価はやや上昇し、債券はやや下落していました。また、為替については、やや円安ドル高になっていました。これは日本が米国の財務省公表の為替管理の監視リストに入ることが判明したことも一因と考えられていますね。
はまだ:ニュースでは、フランスの政治情勢に対するニュースが出ていました。マクロン大統領が今月上旬に下院を解散した影響が大きく出ているとか…。フランスの政治情勢が不透明感を増していることを受け、ユーロ安になっていると記事には書いてありました。
ひろた:そうですね。フランスのマクロン大統領が6月9日に下院解散を発表して6月30日~7月7日に選挙が行われます。この下院解散は、はまださんの言った通り、欧州議会選挙で極右政党(国民連合)が大勝する見通しとなっていたことが背景にあります。マクロン大統領としては、国民が最後には極右政権を選ばないだろう、と賭けているようですが、実際の世論調査では大統領を支援する与党は3番手、つまりかなり劣勢ということとなります。
はしもと:この状況がユーロ安にどのように影響するのでしょうか?
ひろた:いいですね、実はユーロ安だけでなく、フランス国債も値下り(利回りは上昇)しており、ドイツ国債との比較で見たときには利回り格差が拡大しているのです。フランスで今人気のある政党は、政府が国民への支援をふやして負担を軽くするような、いわゆるバラマキの公約を掲げています。そういった公約を実施すると、財政面から見てみると赤字が増えることとなりますよね。
はまだ:フランス国内で見てみると、たしかにバラマキをしていると赤字増につながります。ですが、それがどうユーロ相場に影響あるのでしょうか?まだピンと来ていません‥。
ひろた:実は、EUは加盟国による財政赤字の拡大が域内の経済運営を混乱させるものであるとして、財政赤字に対して制限をかけているのです。
はしもと:なるほど…。でも、財政赤字がよくないことだと言うのはわかりますが、EUが加盟国に対して制限をかけるほどのことなのでしょうか?
ひろた:たとえば、ある加盟国が財政赤字を拡大させるようなバラマキ政策をさかんに実施するとインフレが加速し、国の借金が増えて信用度が低下しますよね。そうなると、その影響が加盟国に波及し、EU全体への信頼が揺らいでしまいます。
はまだ:あれ?それって、ギリシャ危機のときと似ていませんか?
ひろた:その通り!2009年以降に大きな混乱を引き起こしたギリシャ危機がまさにこの例で、ギリシャはいったんデフォルトに近い状況にまで追い込まれていました。結局、EUから支援を受けて緊縮財政を実施し、財政赤字の縮小を図ることでギリシャ経済の再建が進んでいるのです。2009年~2015年まで、ユーロは最大30%ほど下落しましたよね。
はしもと:ということは、フランスもギリシャと同じような状況になってしまうのでしょうか?
ひろた:そうとは限りません。フランスとギリシャでは経済の状態や規模が大きく異なりますからね。ですが、歴史的にEUの中核的存在であるフランス自身が、ユーロ体制の根幹をなす財政運営のルールに反するような政策を進めるということは、これまでせっかく国の壁を越えて欧州の統合を進めてきた流れが大きく変わってしまう可能性があると言えるでしょう。
はまだ:7月以降、選挙でもし極右政党が勝利して、その政党から新しい首相が選出されるなんてことがあれば、どうなってしまうのでしょうか。
ひろた:今回勝利する可能性がないとは言いませんが、極右政党である国民連合は3年後の2027年の大統領選での勝利を目指している様子です。となると、直近ではユーロ安が進行すること以外に大きな影響はなさそうですが、中長期的に見ると今後のフランスの動向がEUにもたらす影響が大きく、EUの求心力低下が世界経済に悪影響を及ぼす可能性もありますね。
はしもと:ありがとうございました!今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!