SUSTEN 社内勉強会 Vol.43 2024年5月20日~5月24日の振り返り
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(5/20~5/24、海外市場は5/17~5/23)の動きを振り返ってみましょう。債券、株ともに値下がりし、為替はややドル高へ。5月前半の流れが逆転しているような動きでしたね。エヌビディアの決算が非常に注目を集めており、SNSやニュースでもよく目にしました。予想を上回る好調ぶりでしたが、株式市場は思いのほかその影響を受けていないようです。
はまだ:今回はSUSTENが運用しているGファンドの動きに注目してみました。実は、あるお客さまからのご質問で、Gファンドでの米国債券への投資について、レバレッジをかけて、ファンドの純資産の数倍程度の買い持ちをしているのであれば金利収入が結構見込めるのではないですか?という趣旨でした。確かにその通りかも、と思いましたがよく分からなくなりました。
はしもと:Gファンドでは債券先物取引を活用している、と聞きましたが、このお客さまがおっしゃっている「金利収入」ってどうなっているのでしょうか?
ひろた:いい質問ですね、今日は少し債券先物取引についてお話してみましょう。「債券先物取引」は文字通り、一定期間”先の時点”の債券を今、値段を決めて購入しておく取引のことを指します。メリットとしては、少額の証拠金だけで取引できること、そして債券が値上りすればその利益も得られることなどが挙げられます。そして、気になる金利収入ですが、この債券の利回りから短期金利を引いた分が「債券先物取引」によって得られます。
はまだ:債券に投資しているのに、なぜ債券の利回りから短期金利を引いた分しか受け取れないのでしょうか?この短期金利って何ですか?
ひろた:債券先物は若干の証拠金を差し入れることで、将来買うはずの債券の代金をすぐに支払わずに債券の現物を保有するのと同じ効果が得られます。これと同じことを債券の現物で実現するならば、誰かから借金をして債券を購入し、一定期間後にその借金を返済することになります。この借金して現物を買うパターンと同条件になるように先物価格が調整されるので、借金して支払うはずの短期金利分は取引上、差し引かれることとなります。
はしもと:ということは、たとえば2年債の先物を購入する場合は2年債の利回りから短期金利を差し引かれた分が利子分として受け取れるということでしょうか?
ひろた:そうなります。ということは、今の時点で2年債の先物を買うと利子分はどうなるでしょうか?
はしもと:たしか、今回の利上げ局面の中で短期金利が2年債の金利を 上回ったことがありましたよね?短期金利より2年債の金利のほうが低いので、受け取れる利子分はマイナスになるような…。
ひろた:その通りですね。2022年12月ごろを境に、短期金利のほうが2年債の利回りを上回るようになり、今も短期金利のほうが高い状況が続いています。この状況自体は珍しいことではなく、過去30年間で見てみると約30%の確率で今のような短期金利のほうが2年債の利回りを上回るような逆転現象が起こっています。
はまだ:ということは、2年債の先物で投資をすると損をすることも多いということでしょうか?
ひろた:いえ、そうとは限りません。利子分がパフォーマンス与える影響よりも、金利変動による価格変化がパフォーマンスに与える影響の方が大きいのです。短期金利が2年債利回りを上回るような逆転現象が起きる典型的なパターンとして、先行きの金利低下をマーケットが織り込んで2年債利回りのほうが短期金利より先に低下していくケースがあります。この場合は金利低下による値上がり益が発生するので、先物投資で結果としてプラスとなることのほうが多いんですよね。
はしもと:そうなんですね…ということは、今回は例外的なパターンだったのでしょうか?
ひろた:そうですね。金利が上昇するときも普通は2年債のほうが先に上昇していくパターンが多いので、2年債利回りよりも短期金利がさらに上昇するというのは非常に珍しいんですね。市場が早くも近い将来の利下げを織り込んでいるからそういった現象が起きているとも言えますが、その織り込んでいる予想通りにこの先進んでいくかどうか、というところがこの2年債先物の採算を決めていくことになると言えますね。
はまだ:まだ結論を出すのは早いということですね。今日は先物の話で非常に勉強になりました。今後もマーケットを見守っていきたいと思います。
はしもと:ありがとうございました!今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!