SUSTEN 社内勉強会 Vol.42 2024年5月13日~5月17日の振り返り
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(5/13~5/17、海外市場は5/10~5/16)の動きを振り返ってみましょう。米国株式、債券価格ともに上昇(債券利回りは低下)していましたね。為替は若干ですが、円高ドル安に。前々週から大きな動きはなく、落ち着いた展開となりました。
はまだ:先週は米国CPIの発表があり、上昇率が鈍化していたことに加え、同日に公表された4月の小売売上高が横ばいで推移しており、利下げ観測が強まった、とニュースで目にしました。S&P500は終値ベースで最高値を更新していましたよね。
はしもと:インフレの勢いがまだ十分に弱まらず、市場が予測する利下げ開始のタイミングが先延ばしになっていましたよね。ようやく物価が落ち着いてきたというところでしょうか。
ひろた:米国FRBはまだインフレについて楽観視はしていないようです。但し、再度利上げに転ずる可能性は極めて低くなり、インフレ率の低下がこのまま進むならば利下げに踏み切るタイミングもいずれ出てきそうですね。 さて、ここで改めて2022年から始まった今回の利上げ局面がもたらした影響について考えてみましょう。
はまだ:利上げが始まってしばらくは株式も債券も値下がりしていましたよね、同時にドル高円安も進行していました。
ひろた:市場の動きとしてはその通りなのですが、経済の動きとしてはどうでしょう?特に企業の状態にはどのように影響していたでしょうか?
はしもと:一般的には、利上げで金利が上がると、お金を借りた時の負担が増えるので設備投資などの活動が鈍ってくるのかなと思いますけど?
ひろた:その通りですね。ですが、新規の投資を見合わせるとしても、今借りているお金の利息は増えていきますよね。今日はもう少し深掘りして、過去の同じような利上げ局面で何が起こったかを振り返ってみましょう。米国FRBが2022年~23年と同程度に利上げしていた例としては、2004年~06年の2年間に、1%台から5%超にまで利上げした時期が挙げられます。
はしもと:その時もかなり利上げしたんですね。そのあとは何が起こったのでしょうか?
ひろた:利上げ終了から1年後に、リーマンショックの前触れと言われる「パリバ・ショック」が発生しています。サブプライムローン関連証券に投資していた、フランス金融大手BNPパリバの運営していたファンドが解約を凍結したことが混乱を招き、その1年後に起こったリーマンショックに繋がっていったと言われています。
はしもと:えっ!?つまり利上げの終了からリーマンショックまでが約2年、その前触れとなるパリバ・ショックまではたったの1年間だった、ということですよね?
ひろた:そうなります。今回の利上げ局面が終了したのは昨年7月、その後、政策金利は5%台のままで今年の夏で1年となるんですよね。ですので「歴史は繰り返す」のであれば、今後、何らかのイベントが起こってもおかしくないかもしれません。ちなみに、利上げ幅は今回の方が大きく、さらにペースも早かったのです。
はまだ:そう考えると、今後何かネガティブな出来事があるかもしれないですね…。でも、何か具体的な予兆みたいなものってあるのでしょうか?
ひろた:実のところ、さほど目立った予兆はないと思います。強いて挙げれば、世界の投資適格未満の企業のデフォルト率が、2020年頃のコロナショック時に一時的に大きく上昇したあと低下していましたが、2023年以降利上げの影響を受けて再び上昇しているんですね。米国では約5%ほどに達しています。
はまだ:5%ですか…今後デフォルト率がさらに上昇し続けるなら、市場全体にも何かしらのマイナスの影響がありそうですよね。
ひろた:そうですね、高金利の状態というのは住宅ローンを借りようとする個人や、借金の多い企業にとっては負担が大きいのです。過去40年間でも例のない位に金利を急ピッチで大きく引き上げて維持していることのインパクトについては、FRBも注意深くウォッチしていると思います。
はしもと:ありがとうございました!今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!