SUSTEN 社内勉強会 Vol.34
2024年3月5日 SUSTEN社内勉強会の様子
SUSTENでは、金融業界未経験のメンバーを中心に、より金融知識を深めるべく毎週社内勉強会を開催しています!
はしもと:先週(2/26~3/1、海外市場は2/23~2/29)の動きを振り返ってみましょう!
株式市場は若干のプラスですが、ほかは大きな動きはありませんでしたね。日本の株式市場は盛り上がっていますが、米国のマーケットは少し落ち着きを取り戻した印象です。
Andy:債券は1、2月に利回りが上がってきていて、利下げ開始が遠のいたような気がしていましたが、先週は逆に利回りが低下していましたね。やや方向感が見えづらい感じがします。
ひろた:そうですね、2/29にはFRBが注目しているインフレ指標である1月のPCE価格指数がほぼ予想通りの水準となり、インフレが高止まりする懸念が後退しましたね。翌日の3/1にはISM製造業景況指数が予想よりも低い水準となり、利回りがやや大きく下落するなど、利下げのペースがやや早まる期待も出てきています。
はしもと:PCE価格指数と言う言葉、はじめて聞きました!米国の家計が消費した財やサービスを集計した指標なのですね。 ISM製造業景況指数もよく耳にする指標ですが、どのような内容なのでしょうか。
ひろた:ISM製造業景況指数とは、米国の供給管理協会(ISM)が公表している指数で、全米の製造業300社以上の購買・供給管理をしている責任者を対象に、新規受注、生産、在庫などの10項目についてアンケートに回答してもらい、それを集計しているものです。アンケートの回答方法はシンプルで、1ヵ月前と比べて「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の三択です。
Andy:製造業の人たちに直接アンケートを取っているのですね。今回発表の指数が16ヵ月連続で50を下回ったことも取り上げられていましたが、それってどういう意味なのでしょうか?
ひろた:指数の計算方法ですが、約300のアンケート結果の中で、「良くなっている」と答えた人の割合(%)と、「同じ」と答えた人の割合(%)の1/2を足して指数を算出しています。言い換えれば、「良くなっている」という回答数と、「悪くなっている」という回答数のどちらが多いかで、50を上回るか下回るかが決まる仕組みです。 50を上回ると景気の拡大を示し、下回ると景気の後退を示すと言われています。
はしもと:「悪くなっている」と回答している人の割合が、「良くなっている」と回答している人よりも多い状態が1年以上も続いていることになりますよね。米国は景気が堅調だ、という話をずっと聞いてきたように思いますが、製造業の人たちが感じている景気の状態がそんなにも良くないとは驚きました。
ひろた:今週は、似たような指標でISM非製造業景況指数が公表されます。こちらの方は、過去10年間で見ると、コロナ禍が始まった2020年4~5月を除くと、ほとんど50を下回ったことがありません。米国のGDPの産業別内訳では第二次産業の割合が20%を切っていて、残りが第三次産業で占められていることを考えると、製造業の指数だけで景況感を測ることは難しいのかもしれません。
Andy:なるほど、一つの指標だけで景気の動向を判断する訳には行かないことは分かりましたが、なぜ債券市場が今回大きめに反応したのか、イマイチよく分からないですね…?
ひろた:その通りですね。今回は指数が予想より悪化したことが材料視されましたが、そもそもこの手の指数はアンケートに回答した人たちの感覚に依存する指数なので、定量的にその意味を解析しようとしても限界があると思います。今年の1月初以来、債券利回りが上昇し続けてきた中での事象なので、債券の買い手が何か反転材料を探していたのかも知れません。一つの指標に頼らずに、複数の指標に目を配りながら、米国の景気がどういう状態になりつつあるのか見ていくのが良いですね。
Andy:例えば賃金の動向であれば、サービスで働いている人の方が多いので、非製造業の動向の方が影響が大きそうですよね。バランス良く複数の指標に注目する必要があるということですね。
はしもと:ありがとうございました! 今日はここまでにしたいと思います。今後も、ファンドの動きとマーケットの情報をアップデートしていきましょう!