為替ヘッジはなぜ必要? Redファンドのパフォーマンス解説
いつもSUSTENをご利用いただきありがとうございます。
お客様から寄せられる様々なご質問に、最高投資責任者(CIO) 山口がお答えする「SUSTEN CIO Interview」をお届けします。今日は、カスタマー・サポートでお問合せ窓口を担当する山田が、SUSTENのお客様を代表して日ごろ抱えるパフォーマンスや運用手法への素朴な疑問をぶつけます。
ーー 今日はお忙しいところお時間を頂戴しありがとうございます。2021年2月のサービスインから早いもので2年が経過しましたね。まずは創業から今日まで、率直なご感想をお聞かせください。
山口 はい。地下の金庫室のようなスペースを借りて創業してから数えると今年で4年目になりますが、その間メンバーも大きく増え、オフィスの引っ越しも2回行いました。創業から1年強で、理想的な資産運用システムをリリースできたことは、極めて優秀なメンバーといつも応援してくださる投資家やパートナー企業様のおかげです。
ーー 俗にいうスタートアップ企業にもかかわらず、お客様からも多くのご期待をお寄せいただき、本当に感謝が絶えませんよね。
山口 そうですね。「完全成果報酬型」の費用体系や資産運用を「自動でおまかせ」できるというコンセプトはご反響が大きく、今では1万人を超えるお客様にアカウントを作成いただき、預かり資産も30億円を超えました。最近では「つみたてNISA」の提供も始まったところです。
ーー その一方、SUSTEN一番のこだわりともいえる運用手法については、お客様にお伝えしきれておらず反省です。特に昨年はパフォーマンスが振るわなかったこともあり、お客様からは厳しいご意見を多数いただいているのが現状です…
山口 おっしゃるとおりです。「パフォーマンス・アップデート」や「SUSTENレター」で、できる限りていねいなご説明を心がけているところですが、よりかみ砕いた解説についてはまだまだ足りていないと反省しています。
ーー 今後は「より分かりやすく」がテーマになりそうですね。今日は手始めに、昨年から一番多く寄せられるご質問について少し堀りさげて解説いただきたいと思います。ズバリ「他のロボアドと比べ、SUSTENの成績が振るわないのはなぜか」です。
他のロボアドに劣後した主因はGreenファンドのマイナス
山口 はい。運用成績につきまして大変ご心配をおかけし申し訳ございません。単刀直入に、理由は「米国において金利が上昇するサイクルに入ってしまったから」です。しかも、過去40年で最悪のスピードと幅で上昇し、SUSTENの運用はその影響を受けてしまいました。
特に、「景気独立型戦略」を採用しているGreenファンド(グローバル複合戦略ポートフォリオ(G))において、保有していた債券の時価が大きく下落してしまった点が、不調の主な要因です。ファンドの投資目的に沿ってルールベースの運用を続けてきましたが、そのルールが裏目にでてしまった形となり、つらい局面を迎えています。
Greenファンドと米国短期債券(リスク調整後)の推移
山口 しかし足元では、年内で利上げが終了した後、利下げへと転じるタイミングを探る展開となっており、一方的な金利上昇局面は脱しつつあるとの見方もあります。
ーー なるほど。SUSTENの9つの運用タイプの中でも、Greenファンドを多く取り入れる「理想追求タイプ」、「モダニストタイプ」、「ヘッジファンドタイプ」については、理解できました。
一方で、ロボアドやインデックス投資と同様、マーケットに追随することを目的とした「信頼の世界経済タイプ」、「不易流行タイプ」、「伝統的理論タイプ」などのお客様からも同様のご質問があるのはなぜでしょうか。
Redファンドは為替ヘッジの影響で円安のメリットが半減
山口 Redファンド(グローバル資産分散ポートフォリオ(R))の組み入れがメインとなるタイプですね。Redファンドは、一言で言えは株式ファンドです。主要国の10,000社を超える上場企業株式に投資し、世界経済の成長をダイレクトに享受することをめざす長期投資向けファンドです。
ーー その点は他のロボアドさんと同じですよね。去年のように、株が3割も下落するような局面ではどこも不調、SUSTENのパフォーマンスだけが劣後するというわけではないように感じますが。
山口 そうですよね。その点では円安も関係しています。他のロボアドさんの多くは為替リスクをヘッジしないので、日本円が安くなる分、円で評価した資産額は増加します。一方、SUSTENのRedファンドは約50%の為替リスクをヘッジするため、円安によるメリットは、ヘッジしない場合に比べ半分程度となってしまったのです。
去年の相場の特徴と言えば株安と円安。Redファンドは株安をもろに受けた格好になりました。しかし、持っている資産(株式ETF等)は一般的なロボアドと差があったわけではありません。
世界株式に直近1年間投資した場合のリターン
為替ヘッジなし:株安のマイナスを円安のプラスでカバー
為替ヘッジなし50%+あり50%:円安のプラスが半減した結果マイナス
ーー為替ヘッジの有無がポイントだったのですね。Redファンドについては、一般的な世界株式インデックスファンドと同じような値動きを期待していた方が多いように感じます。そもそも50%を為替ヘッジしているという点、ご認識いただけていなかったかもしれません。
山口 為替ヘッジについては、100%ありか100%なしのケースがほとんどですからね。一方SUSTENでは、投資信託毎に為替リスクが適切にコントロールされているのです。
為替は継続して買い増していきたい「資産」とは言えない
ーー 為替ヘッジをしない一般的なロボアドと、為替ヘッジをするSUSTENのRファンド。コンセプトは「世界経済の成長を享受すること」と共通です。「世界経済の成長」と言われたときには、投資先の外貨の上昇も同時にイメージしてしまう場合がありそうです。わざわざ為替ヘッジするのはなぜでしょう。
山口 極めて乱暴な言い方をすれば「為替レートは株式のようには成長しないから」なんです。 ドル円レートは文字通り、ドルと円の交換比率です。過去40年、円高と円安をただ繰り返しています。「交換比率」ですので、局面によって一喜一憂することはあっても、長期的に継続して買い増していきたい「資産」と捉えるには疑問があります。
米ドル(対日本円)の推移
ーー なるほど。上下を繰り返すならうまいこと上昇局面だけ取りにいってくれたらなんて、とっさに虫がいいことを考えてしまいました。
山口 たしかにそれができるとなれば話は早いですよね。しかし為替レートは、最も予測が困難な対象のひとつです。仮にできたとしても、勝つか負けるかの勝率は5分に限りなく近く、リスクは株式の半分程度もあります。長期的な経済成長の恩恵を受けるという目的のRedファンドにとって、為替レートの上下動をあえて狙いにいくのは非合理的であるといえます。
日本人にとって最適な為替ヘッジ比率は概ね40-60%程度
ーー では、為替リスクはすべて消す(ヘッジする)のが正解になりそうですが。
山口 そうですよね。。でも直感に反して実は、そういうわけでも無いということが知られています。しっかりとした説明を差し上げるのは骨が折れるのですが、現状の金融理論(ユニバーサル・ヘッジング)では、すべてではなく「ある程度消す」のがリスクとリターンのバランスでは最適だとされています。
つまり、まったくヘッジしないわけでも、全部ヘッジするわけではない。一般的な株式市場と現在の推定ボラティリティ(値動きの大きさ)等を考慮すると、概ね40-60%程度が日本円で投資する日本人にとって最適と算出されています。(詳しくはこちらのインサイトをご覧いただければ幸いです。 )
ちなみにRedファンドでは、50%を目標為替ヘッジ比率として為替リスクを調節しています。逆にいうと、それよりも低いヘッジ比率で運用している人は、為替に強気な見通しを持っていることになるし、逆に高いヘッジ比率で運用している人は、為替に弱気な見通しを持っていると言い換えることもできます。
Redファンドの為替ヘッジは中立ポイントを保つ目的
ーー すると、SUSTENはそもそも為替に対する見通しを持っていないということになりますか?
山口 SUSTENは、というより「Redファンドは」というのが正解です。先程お伝えしたとおり、Redファンドの運用目的は「世界経済の成長を享受すること」です。インデックス運用と同様、愚直に、世界中のすべての株式に広く投資をしていくのが正攻法であり、為替リスクが必要以上にパフォーマンスを左右するような運用は最適ではないと考えています。
為替に対する強い見通しがないのであれば、中立ポイントである50%程度を目指して為替リスクをコントロールし、主な収益ドライバーである世界経済の成長に貴重な資源を割り当てるという考え方が良くあてはまります。
ーー 中立を保つことが目的の為替ヘッジであることがよく分かりました。SUSTENの為替に対する見通しという点では、どのように運用されているのでしょうか。
山口 米ドル、ユーロ、イギリスポンドなど主要6通貨に対する強気/弱気の見通しは、Greenファンドの一部で取り入れています。各国のインフレ見通しや、金利動向、資金動向フローなどを総合的にモデルが判断し、それぞれの通貨を買い持ちしたり、売り持ちしたりしています。
ーー Greenファンドについては、また別途、詳しくお話うかがう必要がありそうです。「自動でおまかせ」とはいえ、何にどのような投資を行っているのか分かりにくく不安、というお声も届いています。お客様にご理解いただける形でお伝えできるよう、今後も工夫していきたいところです。
山口 そのとおりですね。プロの機関投資家に採用されているような新しい投資戦略は、個人の、特に初心者のお客様には、少々とっつきにくい側面があるのは否めません。その分、なるべくシンプルな情報提供が不可欠だと考えています。
ーー 今日はお忙しい中ありがとうございました。次回もまたよろしくお願いします。
執筆者
山口 雅史 <代表取締役 最高投資責任者> 山田 記実 <総務本部長>
いかがでしたでしょうか。次回のCIOインタビューもどうぞお楽しみに。SUSTENに関するご意見・ご質問などは、SUSTENカスタマー・サポート(support@susten.jp)までお気軽にご連絡ください。
追記
本資料は、株式会社sustenキャピタル・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が提供する投資一任サービス(「おまかせ投資機能」と呼称する場合があります)、および投資信託の直接販売(「つみたてNISA機能」と呼称する場合があります)についてご紹介するものです。当社が提供する商品・サービスはいずれも値動きのある有価証券等に投資しますので、投資評価額は変動します。したがって元本が保証されているものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報・データ等に基づいて作成されていますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された市況や見通し等は、本資料作成時点の当社の見解であり、将来の動向や結果を示唆あるいは保証するものではありません。また、将来予告なしに変更する場合があります。
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・投資信託の運用による損益はすべて投資者の皆さまに帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。また、投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。お取引の前に投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面を必ずご確認ください。
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