足元の市場動向につきまして
株式会社sustenキャピタル・マネジメント代表の岡野です。平素より資産運用サービス〈SUSTEN〉をご愛顧賜り、心より御礼申し上げます。
このところ、米国株を中心に世界の株式市場が大きく下落しています。こうした状況を踏まえ、足元の市場動向について最新の情報をお届けします。今回の下落の発端となったのは、トランプ大統領による関税政策の発表でした。すでに報道などでご存知の方も多いかと思いますが、エコノミストの間では「想定以上のインパクトだった」との見方が多く、メディアも大きく取り上げて批判的な論調が広がっています。
しかし、個人的にはこの一連の反応にやや違和感を覚えています。というのも、この関税措置は突如現れた政策ではなく、大統領選の時点から公約として掲げられていたものであり、予想外の「サプライズ」というほどの内容でもないはずです。むしろ注目すべきは、ある程度織り込まれていたはずの材料に対して、市場が過敏に反応している点です。今回の下落は、関税そのものの影響というよりも、市場心理の不安定さが表れたものと捉えるべきでしょう。
市場には常に、目には見えづらい“ひずみ”が蓄積されています。そして時折、あるニュースや出来事をきっかけに、そのひずみが価格の調整という形で表に出てきます。今回の下落もその一環であり、振り返れば1月のDeepSeekショックや昨年7月のナスダック市場の調整のように、「ちょっとしたきっかけで株を手放したい」と考えている投資家が一定数存在することを示唆しています。過去数年にわたり株式市場で大きなリターンを得た投資家にとっては、このタイミング/いいところでいったん売却して利益を確定したいという心理が働いているのかもしれません。
とはいえ、こうした局面でも焦る必要はありません。
投資の本質は、「タイミングよく売買すること」ではなく、「良い資産や戦略を、腰を据えて持ち続けること」にあります。高値で売ったり底値で買ったりといったことは不要です。
米国株については、ここ数年「割高だ」と指摘されてきました。確かに、いくつかのバリュエーション指標(株価が相対的に高いか安いかを図る指標)を見れば歴史的に高い水準にあったのは事実です。しかし、だからといって割高な株価が必ず下落するというわけではありません。バリュエーション指標が高いとすぐに「バブルだ!株は大きく下落する!」と騒ぎたがる人は実に多いですが、価格が高いものには、それなりの理由があることも多いのです。
仮に割高だから買わないと判断していたとすれば、コロナ・ショック以降のこの5年の株価の上昇局面に乗ること、もっと言えば長期に渡って株式市場から得られたであろうリターンを手にすることはできなかったでしょう。割高だから売るという判断は、かえって高くつくこともあります。
投資対象が割高であるとは、「今後得られるリターンが平時と比較してやや抑えめになるかもしれない」という意味に過ぎません。マイナスのリターンが避けられない、というわけではないのです。そして何より重要なのは、「その割高な資産がいつ下がるか」は誰にも分からないという点です。5年や10年という時間をかけて高い資産がさらに高くなり、割安な資産が長く放置されることも、マーケットではよくある話です。市場の調整は必ずしも暴落によって修正されるとも限らず、価格下落を伴わずとも時間をかけて修正されることもあります。
市場が少し荒れると、短期的には「高く売れた/安く買えた」という話題が注目されがちですが、それらは再現性のない偶然の産物であることがほとんどです。市場の動きに一喜一憂するのではなく、将来にわたってリターンを期待できる資産や戦略を、継続して保有していく姿勢が何よりも大切です。とりわけ今のような相場環境では、5年先・10年先を見据えて、冷静に判断していく必要があります。
SUSTENの現状の運用につきまして(課税口座)
SUSTENのサービスに関して申し上げますと、課税口座では、株式市場の成長を取り込む設計のグローバル資産分散ポートフォリオ(Rファンド)が市場の下落に伴い影響を受けています(注:昨年8月のサービス・リニューアル以降、株式市場への連動性がより高くなっています)。一方で、株式市場の動向に左右されにくい収益を追求するグローバル複合戦略ポートフォリオ(Gファンド)では、今回のような局面でもその戦略の効果が確認されています。Gファンドは完全に非連動ではないものの、一般的な投資信託と比べて相場の上下に強く依存しにくい設計となっています。
ただし誤解していただきたくなく申し上げますが、だからといって「今調子が良いからGファンドへ」「安くなったからRファンドへ」という判断を足元の価格変動だけを理由にして安易に行うべきではありません。
繰り返しになりますが、未来は不確実です。予想を超える出来事が常に起こりうるという前提で、長期的な期待値の高い資産配分や戦略を継続することが、投資成果を高めるカギとなります。SUSTENでは、特に制約がない場合、RファンドとGファンドを概ね半々で保有していただくことが、最も合理的なポートフォリオとなるように全体を設計しております。
SUSTENのNISAとその優位性(非課税口座)
一方のNISA口座については制度上の制約もあり、Gファンドのような市場非連動型の戦略を組み入れることができません。そのため、今回のような市場の混乱時には、影響を大きく受ける構造となっています。ただし、これはSUSTENの仕様というよりはNISA制度の仕様であることをご理解いただけますと幸いです。
とはいえ、ただ手をこまねいているだけではありません。SUSTENのNISAでは独自の機能である「節枠」の効果が、多くのユーザー様にとって明確に現れてきています。節枠機能は、必ずしもファンドのリターン自体を直接改善するものではありませんが、自動でNISAの非課税枠を実質的に拡張できる機能となっています。NISA制度においては投資家は生涯で1,800万円の非課税投資が認められていますが、この節枠機能があることで平均的なユーザー様におかれては長期的に100-200万円程度追加に非課税投資ができることが期待されます。証券会社にはないSUSTENならではの優位性であり、こうした市場の混乱時こそ、その自動最適化機能が発揮されています。
終わりに
市場の変動はこれからもしばらく続くかもしれません。(このコメントの執筆は4月8日にまとめていましたが、実際にすでに米国時間の4月9日には株式市場の大幅な反発や債券価格の反落も発生しています。オーバーリアクションが続きやすい環境です。)
しかし、慌てることなく、期待値の高い資産や戦略をブレずに持ち続けましょう。それが長期的な投資成功の王道と言えます。今だからこそ、未来に向けた視点で行動していきましょう。
SUSTENでは今後も投資戦略、利便性、制度対応、すべての面において最善を尽くして参ります。引き続きご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
執筆者 岡野 大 代表取締役 最高経営責任者
追記
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